遊戯王カードゲームインストラクター試験に合格した

『遊戯王カードゲームインストラクター試験』に合格しました。他のゲームだとジャッジ資格などに近い立ち位置となる、「ユーザーでありながら公式側として対応する立場」の資格となります。この合格はもちろん、すでに紙のゲームで優勝や入賞もそれなりにできてきており、関連ゲームの『遊戯王マスターデュエル』で「ドライトロン」の流行の発祥になったり、EXTRAWINというチームに所属することになったり、ある程度しっかりプレイしていると言えるようになった気がするので、せっかくなので potato4d としてはじめてガッツリ遊戯王の話をしようと思います。

といっても一番報告したいことは合格報告なので、興味ある人が見てもらえればと思います。ざっくりとしたサマリーは以下の URL にまとまっているので、ざっくり見たい人はそちらをどうぞ(Twitter モーメント廃止につきモーメントの内容を再構成したもの)。

https://tcg.potato4d.me/

はじめに

たびたび Twitter で呟いているとおり、2年ほど前から遊戯王OCGをはじめていました。それまで熱中して遊んでいたポケモンがインフレしたことで、柔を愛する自身のプレイスタイルに対して、剛が圧倒的に強いことから気持ちが離れてしまい、他の対戦ゲームを探していた中、偶然であったのがきっかけです。

遊戯王と聞くと、小中学生が遊ぶゲームという印象が強いでしょう。私自身、2021年の1月に遊び出すまでは、小学校時代の思い出程度でしかありませんでした。 ですが、実態は違いました。

遊戯王はいわゆる『スタン落ち』と呼ばれる概念(一定の期間で古いカードや資産が使えなくなる仕組み)が存在せず、古今東西のあらゆるカードを有効活用できることから、私がプレイを始めるときにはすでにインフレを極めていました。

また、25年の歴史の中で継ぎ足し続けたルールにより相当に複雑となっており、子供が気軽に遊べるゲームというこれまでの印象から、複雑なゲーム性を愛することができる人だけが遊べる、特殊な成長を遂げたボードゲームとなっています。

加えて多少金銭的なコストも掛かるため、それも相まって今やプレイヤー層も大学生と社会人で体感9割5部。実態としては大人の遊びとなっています。

それ故に他のゲームと比較しても非常に高い戦略性を誇るに至っており、はじめは少し触ってみようかなというだけだった私は、あることをきっかけにドハマリすることとなります。

デュエルサロン太陽との出会いと大会環境

私が本格的に遊戯王を始めるに至ったのは、2021年の1月になります。当時はまだ本格的に遊んでいるわけではなく、KONAMIが運営している公式のDiscordサーバーでたまに見知らぬ人とリモートで遊ぶ程度でした。

そんな中、ある日イザジンというサイトの存在を知ることになります。イザジンは交流会や大会の運営と参加を一手に担うポータルサイトになっています。今回話している遊戯王はもちろん、ここ数年バブルが続いているポケモンカードなんかも、このサイトを通じて盛んにイベントが開催されています。
エンジニア業界で言うところのconnpassに近いというと、伝わりやすいでしょうか。

このサイトを見たときに、近場で大会が開かれていることに気がつきます。それが早稲田にあるデュエルサロン太陽にて開催されている太陽CSです。

ちょうど週末に予定がなかったこと、近場であったことから、いわゆる「ガチ大会」というものに参加したくなり、早速申し込み。大会環境に足を踏み入れることになります。そして迎えた当日、少し前からフリー対戦で大会環境を想定して使っていたデッキを持って大会に臨みました。

結果はベスト8でした。あとになって知りますが、初戦からKodaiさん(海外のショップで仕事をしている有名なプレイヤー)とマッチするなど、いろんな経験を積ませてもらいながらも、もちろん最後まで勝ち切ることはできませんでした。

今考えると見ていられないほど酷い構築で、当日なぜ多少勝てたのか不思議で仕方ないのですが、ビギナーズラックという言葉があるように、初めての大会環境に足を運ぶプレイヤーを歓迎してくれているようでした。

余談ですが、この日の召喚シャドール戦は3戦目の返しのターンでγとニビルを顔面で受けた上で2~3妨害立てて返すという、どう考えても上振れでしかない手札が来ていたことを鮮明に覚えています。

敗退のあとも店長さんの好意で終盤まで観戦させてもらい、そこで準決勝まで足を進めた猛者たちの対戦を見て、衝撃を受けることになります。

具体的な状況としては、ETEDでサンドラの最終攻撃ターン、「ニビルだけ割り切るしかないか」と言いながらキルを取りに行くがニビルをまともに喰らって致命傷。しかしそこから雷龍融合へのアクセスに成功し、メイン2でグスタフによってライフ逆転で勝利というものでした。

この日に大会環境の緊張感のある対戦、そして社会人同士が本気で真剣勝負で知識とプレイを競っている環境にとてつもない充実感を覚え、このゲームは大人になった今こそ楽しめるものであるということを実感しました。

今になって思い返してみると、当時から今まで愛用している【ドライトロン】というデッキが、先攻では手札によって何をどう喰らうかがまずいかが明白であり、後攻では手札誘発(相手ターンに打つことができる妨害札)の引きに左右されづらく、テーマの強みで詰め筋を作ることがやりやすい受けループに似た性質を持つからこそ得られる面白さと緊張感も相まってのものだったのかもしれません。

そんなこんなでその日は店長さんに「今日は観戦ありがとうございました。また来ます」という話をしたときに快く返事してもらえたこともあり、以来定期的に大会への参加や、大会の日以外でも会場へと足を運ぶ機会が生まれました。

初優勝と続けるきっかけ

その後仕事が忙しくなったこともあり、次にデュエルサロン太陽に赴くのは2021年4月になりましたが、そこからほぼ毎週のペースで大会に出るようになります。人気YouTuber『ネクストプレイ』が主催するネクストプレイ杯や埼玉県朝霞市で毎週開催されている朝霞杯(旧: 朝霞CS)などなど様々な大会に顔を出すようになります。

そして2021年6月27日、無事初めて優勝することができました。

当時はプレイングもまだまだでしたが、この日は運も味方してくれたこともあり、未開拓のルートを利用した新しい構築で優勝を飾ることができました。これまでも毎週緊張感のある戦いを楽しんでいましたが、決勝ではそのプレッシャーが段違いであったこと、大きな成功体験を手にしたことから、更にこのゲームに熱中することになりました。

この一件で自信がつき、これまであまり出てこなかったチーム戦にもチームメイトを募って参加するようになり、より一層ゲームを通じての友人関係も広がっていきました。

一時期は祝日があるタイミングは週に2日以上大会に出ることも少なく、プレイングもゲーム自体への理解も加速度的に上昇していったことを覚えています。このあと入賞を続けて、東京以外の人からも「ドライトロンで何度も入賞・優勝している人」と認知されたことは非常に嬉しい出来事の一つでした。

実際にはそう思ってもらうまでの実力がついたと自分で実感できるのはこの年の年末あたりで、暫く先のことにはなるのですが、それでも嬉しかったことを強く覚えています。

Image from Gyazo

チームメイトに登録してもらっている大会も多いので、実際はこの1.5倍位出ている

詳細を述べると長くなってしまうので割愛しますが、太陽CS出会って以来、何度もともにチームを組むようになり、早稲田に秋葉原に埼玉にと、多くの会場で一緒にチームを組んだただしいまち(@gendhi_in_t)とのチーム戦の日々は、コロナ禍での一番の楽しみであったと断言できるほどです。

また、リモートデュエルで知り合って平日夜何度も何度も対戦をしたいろ⭐はす(@ilostarhas)さんからはじまり、東海〜静岡圏のプレイヤーとも、チームメイトとして大会に出ることで関わるようになり、遊戯王を真剣にプレイする中で、多くの交友関係ができていきました。

専用のTwitterアカウントを作成するにもいたり、今はそちらで多くのプレイヤーと交流していますが、コロナ禍でこれだけの遊びを真剣にプレイする友人との関係に恵まれたのは、ひとえに自分自身も遊戯王というゲームに真剣に向き合ったゆえのことだと感じています。

ここ数ヶ月は仕事も忙しい状態が続いてプレイする時間自体は短くなっていますが、これからも大会環境に可能な限り身を置き続けたいなと思っています。

インストラクター試験

と、ここまで大会と人間関係の話をしてきましたが、遊戯王をはじめて1年半ほどが経った秋の日に、遊戯王インストラクター試験の存在を知ります。

ここまでほぼ触れてこなかったですが、実は大会環境でプレイする中で、このゲーム自体のユニークなテーマやカードにも興味を持ち始め「大会環境では必ずしも実用的とは言えないカード」や「マイナーなテーマの強い使い方」という点において、周囲の大会環境のプレイヤーより多くの知識を持つことになっていました。

強い/面白いどちらの側面にも気になったカードは片っ端から購入してデッキを組んでみる、回してみるということを行い続けていた結果、多少複雑なルールにも即答できるようになっており、TwitterやYouTubeで話題になるような質問は、ほぼ全て常識と認識するまで至っています。

そして何よりもメジャーカードからマイナーカードまで好きになれる自分はある程度適正があるのではとも感じていました。

余談ですが、この一件の数週間前に、デュエルサロン太陽にきたお客さんに向けて、店長に代わってデッキを考え構築する機会がありました。ほとんど初めて遊戯王をやるということから、わかりやすくある程度勝てるデッキを1から組むこと、 new comer に対して傾聴し、デッキを組む経験をしたことから、より一層「多くの人にとって楽しめる遊戯王の姿」に関心が高くなっている時期であったことにも起因しています。

そんなこんなで、ルール面の力試しも含めてインストラクター試験に挑戦することにしました。

2022/11/19、世間の話題をポケモンが掻っ攫う中、ひっそりと試験は行われます。

2020年の画像ですが、こんな感じの普通の試験のイメージです。

試験終了後はしばらくポケモンをやったり、コロナにかかったりと遊戯王から離れた生活をしていましたが、コロナが治りかけのある日、合否の連絡が来ました。結果は合格。無事一発で遊戯王インストラクターへの権利を手にすることができました。

インストラクターになるには専用の講習を経て初めて名乗ることができるため、これまで伏せてはいましたが、これにて無事 KONAMI によって遊戯王を教えるだけの知識と立ち居振る舞いを認められたこととなります。

資格試験の類を最後に受けたのは学生時代ということはもちろん、愛するコンテンツに対して周りでもほぼ見ないインストラクターという資格を手に入られることが嬉しく、今年の大会で2度目の優勝したとき、規制を喰らったデッキをオリジナルのルートでリペアに成功したときよりも嬉しかったことを覚えています。

これにて晴れて本当に大会環境だけではなく、「遊戯王」というコンテンツ自体のファンになれたような気がします。

インストラクター合格についての友人への謝辞

本人に話したことはないですが、私の周りは競技志向のプレイヤーが圧倒的に多く、いわゆるカジュアルな遊戯王のあり方について話したり、一緒にプレイすることができる人は多いわけではありません。

そんな中、中学時代からの友人であるとるとさんちょく(@tolt_santyoku)の存在はかけがえのないものです。お互い社会人になったこともあってしばらく疎遠でしたが、ある日遊戯王を誘ったことによって少しだけ復帰。今でもたまにカジュアル環境で遊んでいます。

彼があの日アメドリ新宿でスプリガンズを購入していなければ、おそらく私が競技以外での遊戯王の楽しさを堪能することはできなかったでしょうし、インストラクターになるという選択肢も存在しえなかったでしょう。

ここしばらく一緒に遊べてないですが、 PHHY でスプリガンズも強化されたので、これを読んでくれているなら、ぜひまた遊びましょう。

また、大会環境のプレイヤーながら、端的に言ってしまうと弱いデッキの話に付き合ってくれるかわうみ(@_hagemanto_)にも、感謝しています。チームを組んだことは実はないけれど、今度機会があれば組みましょう。

これからの話

そんなこんなで非公認大会でもある程度好成績を残せるようになり、他方で公認での活動としても正式にインストラクターとなれたので、自分の中である程度遊戯王というコンテンツを遊び尽くしている人になれた気がしています。

マスターデュエルはランキングイベントで最高51位、最終449位と少しずつ成果を出せているように思えますが、OCGのほうはもっぱら大型非公認大会の結果ばかりを追い求めており、公認の大会にあまり参加できてないので、次は日本選手権などに向けて成果を出していきたいと思っています。

ここまで多くの友人の名前が登場するコンテンツなんて、技術ブログでは一度も書いたことがないため、執筆を経て改めて遊戯王が自分に与えた影響の大きさを実感します。

まだまだこのコンテンツに飽きることはなさそうなので、これからも長く付き合っていくこととします。

余談: 実技試験のデッキについて

最後にインストラクターに少し興味がある人に向けて、実技試験のデッキを載せておきます。

Image from Gyazo

「究極の対話デッキ」として、永続罠抜きのサブテラーを利用しました。コンセプトなどは下記参照です。遊戯王DBのURLも載せておくので、ぜひ詳細を見に行っていいねもしていただければ幸いです。

https://www.db.yugioh-card.com/yugiohdb/member_deck.action?ope=1&cgid=e754c004ac58e3b696fca2d99f3d46e1&dno=353

「インストラクターに挑戦!」イベントで使うことを想定して作成した「サブテラー」+「ドラグマ」デッキです。

構築の軸となる「サブテラー」は多くのバリエーションがある中で、今回は《サブテラーの導師》を中心としたスローペースな構築に仕上げました。

《サブテラーの導師》と《サブテラーの妖魔》のコンボを中心とした低速の動きをしつつ、足りないパワーを「ドラグマ」ギミックで補っています。

「ドラグマ」ギミックによりランク4エクシーズやリンク召喚に繋げやすく、御影志士によって《天獄の王》を手札に加えることで《サブテラーの決戦》を中心とした罠カードを守ることや、メインデッキでは触れづらい罠カードに対して《竜巻竜》を回答とすることができます。

その他《つり天井》や《簡易融合》+《召喚獣ライディーン》など、リバースと相性の良いカードも多く採用しています。《つり天井》はチェーンして《サブテラーの導師》の効果を発動することで自分フィールドの被害を最小限にすることができるほか、《召喚獣ライディーン》は1枚で「サブテラーマリス」モンスターの特殊召喚条件を満たすことができます。

デッキ改良案としては、必要に応じて《金満で謙虚な壺》の採用により安定感の向上、「ドラグマ」や《天獄の王》などのサブギミックの採用枚数を少し減らし、「サブテラー」と相性の良い《センサー万別》や《御前試合》の採用、また、それに伴う《澱神アポピス》の採用によるデッキパワーの向上などが挙げられます。

ニューロンのアカウントも併記しておきます。

Image from Gyazo

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