ポケモンと勝率の話

この間の連休で生産的な活動をやったので、その分の休憩としてここ一週間ほど仕事以外の時間をポケモンに捧げていた。一ヶ月あるポケモンのシーズンの中で、9月期に3桁を目標としていたが、結果としては1,300位。惜しいところまではいったが、もう一歩頑張りたいところではあった。

そんなポケモンもちょっと10月はガッツリ遊ぶ時間を取れなさそうなので、良い区切りとして、今考えていることをメモしておこうと思う。

この記事で言いたいこと

  • 1%でも有利な勝率を追い求められているならば目先の勝敗は気にするだけ無駄
  • 確定3発の相手に3割ひるみを2回試行できるなら、その立ち回りは大切にしよう
  • 自分は1%でも有利な確率をコンスタントに追い求めるために受け回しを使っている

自分の構築について

自分はいわゆる受けループと呼ばれる構築を頻繁に使っている。

厳密に言うと構築に回復技を持っていないポケモンが一匹または二匹紛れることが多く、純正受けループではなく、どちらかというと受けサイクルというのが正しいが、ここでは厳密な定義はおいておく。

受け構築というのは、兎にも角にも相手の攻撃を受けきって、毒ややけど、相手のフィールドへの設置技といった定数ダメージで相手を潰していくような構築となる。

ポケモンにおける、前提条件(天候など)がない状態の再生技の最高レートは最大HPの1/2なので、基本的に相手の攻撃が確定3発(3回受けたら落とされる状況)を維持できれば、基本的には負けないという認識で良い。

(実際は積み技やダイマックス(特にダイホロウやダイアーク)の影響もあり、そう単純ではないが……)

正直、聞いているだけで「やってて面白くなさそう」と思う人のほうが多いと思う。が、自分はこういった構築を使い続ける明確な理由がある。

ここでは、確率をベースとして、その話をしようと思う。

ポケモンバトルの勝利において優先すべきこと

ポケモンは、基本的にほぼすべての攻撃技に1/24の確率でダメージが1.5倍になる急所という概念と、下振れ・上振れを引き起こす16段階のダメージ乱数という概念が存在するほか、30%で麻痺、10%でやけどといった状態異常を施す技が飛び交うなど、確率に左右される要素が多分にあるゲームとなる。

これだけ確率に左右される以上、確率が左右される試合を行っている限り、例えば90%で勝てる試合でも10%の相手の上振れで負けるということは存在する。

10%の上振れでいうと、相手の攻撃が(55~%65%)程度のダメージで確2(急所による確定数の変化はない)でこちらが確1(100~110%程度)の場面で相手がフレドラのやけどを引いて負け。といった具合。

この状況になっている時点で運なので、これがいわゆる「運負け」であることは純然たる事実。ただ一方で、そもそも10%や20%程度の頻発する運の要素が絡む試合を行っていることが問題であることが多い。

つまりは、基本的に立ち回りの精度というのは、以下の順で高いと認識できる。

    1. 運の要素が絡まず確実に勝てる試合
    1. 自分にとって分の良い(51%以上の確率)で運の要素を絡んで勝てる試合
    1. 自分にとって分の悪い(50%未満の確率)で運の要素をを絡んで勝てる試合
    1. 運の要素が絡まずに確実に負ける試合

つまりは、そもそもそれなりの運が絡む試合をやっている時点で運負けは許容すべきであり、逆に言えば確率は収束するため、 「自分が運負けで下振れした」 と思うのであれば、ただ試合数をこなすだけで良い。

もしそれが本当に運負けなのであれば、それで結果はついてくる。

運が悪いときの話はネタとして消化できると笑えるが、キレる必要は一切ない。

とはいえ現実問題、運が絡まない試合というのはほとんどないため、次に言及する「自分にとって最も良い確率を選択する」という考えが重要になってくる。

良い確率を追える選択と追えない選択

では「良い確率」と「悪い確率」というのは何か。

自分は「悪い確率」の際たる例を同速勝負と認識している。例えば今シーズンは存在しないが、夢御三家解禁直後に各所で頻発していたエースバーンミラーや、剣盾発売直後から長らく存在するドラパルトミラーあたりが該当する。

これに関してはお互い相手を落とすことができ、かつ素早さも同じということから、完全に50%/50%の確率上の試合となる。こういった状況が頻発する状態では、よほど運の良い人間以外は最終的には収束し、トントンの勝率となっていく。

高速アタッカーを使うなというわけではないが、高速アタッカーを使う以上、同速勝負をしないための立ち回り(誰もがやっている死にかけのポケモンをダイジェットの餌にするような立ち回り)や、 「俺は豪運で勝ちます」 という主張が必要となる。

ただ前者の立ち回りについても、ほぼすべてのエースバーンがとびはねるを持っている以上、そこも次は 読み合い という名のギャンブルになる。ランクマッチは相手が誰かわからない状況なので、思考の特性も読みづらい。となると人読みで精度を上げるといった行為が現実的でない以上、こちらも五分五分に近い状況となる。

そのため、できるだけ同速勝負や読みといった、確率50%あるいは不定の行為をあまりするべきではない。

ただ、確率が50%より少し上の行動を再現できる場合、それは上振れの可能性を秘めているので間違ってはいない試合展開と言える。

実例で見る良い確率

例えばドリュウズを例に上げると、Aは悪い確率、Bは良い確率といえる。

  • A. ドリュウズ(H4/A252/S252+) vs ラプラス(H4/C252+/S252)
    • ドリュウズ(アイアンヘッド): 84 ~ 100(40.7 ~ 48.5%)確定3発
    • ラプラス(うたかたのアリア): 180 ~ 212(96.7 ~ 113.9%)乱数1発(81.3%)
  • B. ドリュウズ(H4/A252/S252+) vs ヨノワール(H252/A252/B0+)
    • ドリュウズ(アイアンヘッド): 51 ~ 60(33.5 ~ 39.4%)確定3発
    • ヨノワール(かわらわり) : 108 ~ 128(58 ~ 68.8%)確定2発

A について

この場合ドリュウズ側が確3、ラプラス側が乱1なので、1ターン目の時点でラプラスの勝率が100*0.7*0.8ということで、自身のアリアの急所を考慮しなくても56%の確率で勝利できることになる。

ドリュウズ側が勝つには2連続で怯みを入れる100*0.3*0.3の9%、あるいは急所+怯みを引く必要があるため、勝率は10%にも満たない状況となる。

この状況下では、悪い確率での立ち回りを強要されてしまっていると言える。

現実的にはHCのラプラスのほうが多いためより分が悪いが、まぁキョダイセンリツ解禁直後のS60族のS振りが激しかった時代ということにしよう。これはあくまで例なのだから。

B について

ドリュウズからヨノワール方向へのダメージは急所があっても確定3発。対してヨノワールからドリュウズ方向へのダメージは急所があっても確定2発という状況。

こういった状況においては急所一つでは確定数に変化がないため、アイアンヘッドのひるみ確率30%が二度、つまりドリュウズ側の勝率は51%であり、ヨノワール側の勝率は49%となる。

実際は更に1/24の急所を2連続で引くことで落とせる確率が存在するため、51.2%程度の確率でドリュウズが勝利できる。

現実的にはヨノワールの技構成がかわらわりではなくほのおのパンチであり、10%のやけどが存在してドリュウズ側が悪い乱数というほうが多くなりそうではあるが、すくなくともこの対面を1000回やることがあれば、それだけで10勝分多く勝利をつかめるはずである。

つまりは

上記から見て分かるほか、普通にプレイしていてわかる通り、試合が運によって確定しない場合でも、自身の勝率というのは試合中に目まぐるしく変動する。

もしお互いの手持ちが割れていて、同速勝負orドリュウズvsヨノワールを選択できる状況にあれば、間違いなく後者を選択したほうが良い。

そうするだけで、1000回やった結果が10勝多くなる。

逆に言えば、良い確率を追う行動さえできており、勝率が50%を超えた試合をしているのであれば、その試合の勝敗については深く考えないほうが良い。

試合数を消化することを前提とするのであれば、その場での試合数に一喜一憂するのではなく、自身に確率を寄せられることができているか、プレミではないかを考えていくと良い。

より良い確率を追うための受け回し

これを考え方のベースとして持ってきた結果、最終的に今の受け回しの構築ができあがる。

受け回しは、試合の些細な結果だけでなく、構築単位でほぼ100%勝てる相手とほぼ100%負ける相手が決まる。

例えばラッキーは、基本的に100%の確率で特殊アタッカーに勝つことができる。ここで例として、運勝ちを引き寄せられそうな、分の良い最高火力であるひかえめメガネ10万ボルトを、ヒートロトム(使用率10位)が打ってきたと仮定する。

ヒートロトム→ラッキーのメガネ10万は 51 ~ 61(15.6 ~ 18.7%)乱数6発(93.8%) のダメージ乱数であり、急所時では 76 ~ 91(23.3 ~ 28%)乱数4発(87.1%) である。今回はある程度どんぶり勘定で、どちらも確定6、確定4発とする。

急所にしろ通常状態にしろタマゴうみの回復量が1/2である以上、通常3発、あるいは急所2発を引くまでに一度でもタマゴうみに成功すると勝てると言える。かつ相手はメガネなので、最大の試行回数は24回である。

これを元に、一番悪い確率を考える。一番最悪な確率は、前弾急所(4.2%^3)+全て麻痺(25%^3)+初回麻痺(10%)。

これは計算式で表すと 100*0.042*0.042*0.042*0.1*0.25*0.25 、計算結果は 0.00463050% となる。おおよそこれは5万分の1の確率であり、ラッキー側の 99.9953695% とフォーナインを超える。

この対面単位(メガネロトムvsラッキー)の範囲で5万分の1を引く必要があるため、この試合状況自体が生まれるのが毎試合ではないことを考えると、数十万から数百万試合やって初めて一度、メガネロトムはラッキーに勝利する。

先程の50%や51%という勝率の単位ではなく、勝てる相手に確実に勝てるし、負ける相手には確実に負けるという数値に変わっている。

またもっと極端な例でいうと、前期の構築で使っていた通り、あんこくきょうだでこだわったASのスカーフウーラオスはHBのヌオーに勝つことはできない。

ウーラオスのあんこくきょうだは確定急所のため、急所によるダメージ上振れが存在しない。ということは、あんこくきょうだ自体が出せる急所の最大乱数が、そのウーラオスの出しうる最大打点となる。

そしてASスカーフウーラオスのあんこくきょうだは、ヌオーに対して最大乱数で49.x%。最大乱数を二つ引いたとしても、99%であり、ヌオーは確定で耐えきることができる。

このとき、ウーラオスのあんこくきょうだのPPは8、ヌオーのじこさいせいのPPは16であるため、ヌオー側はウーラオスの12回目の攻撃(わるあがき)を食らうまでじこさいせいを12回押すことで、100%の確率でウーラオスに勝利することができる。

と、このように、場合によっては100%もありえる。受け構築は、基本的にダメージ量と確率から行動を考えるため、安定行動を取り続けるだけで、良い確率 を手元に引き寄せられることが容易な構築となる。

受け回す時は相手へのダメージもやけどの1/16、毒の1/8、ステロの1/8*耐性、50固定といった具合で全てが計算できるため、そのターンそのターンどころか、試合のアニメーション中に勝率の計算を済ませることができる。

そういった全てを確率に組み込んだ試合展開を行うことで、読みや奇襲による変則的な上振れなし、構築時の想定勝率に近い結果を再現性を持って作り上げることができるということから、それまで行ってきた通常のサイクルや対面構築を全て捨て、受け回しを選ぶこととした。

これによって想定している勝率と大きな乖離を起こすことなく、上振れも下振れも現状はあまり感じていないため、理論としては正しいのではないか。というのが今日までの結論となる。

「読み」をしても良い場面

ただ一方で、受け構築においても「読み」をしても良い場面はいくつか存在する。それは、これまでの言及とは逆に、勝率がほぼゼロのケースとなる。

ここでの読みは、「自分の行動で完結する行為(=安定行動)」ではなく、相手の行動に依存する行為とする。

今の構築がミラーコートやカウンターで溢れている理由でもあるが、受け構築はメタの対象外からの行動に極めて弱いこと、特定のポケモンの対策が不十分である場合一気に崩されることが欠点として存在している。

例えばシリーズ5までのドリュウズ、シリーズ6以降のオノノクスは、かたやぶりであり一撃必殺持ちという特徴があるため、物理アタッカーであるにも関わらず、ヌオーやクレベースを落とすことができる。

こういったシチュエーションでは勝率がゼロに近くなるため、0よりは分の良い掛けとして、50/50程度に持ち込めるカウンター・ミラーコートを搭載している。

こうすることで、ほぼ100%勝てる試合を抑えつつ、ほぼ100%負ける試合の半分程度の相手に、さらに半分程度の確率のギャンブルを仕掛けることによって、勝利をおさめることができる。

こういった場合においては、作り出せた対面における勝率は、0%と50%。0%と50%では50%のほうが勝率が高いため、ここでは自分はギャンブル気味にカウンターを平気で押す。

これはその状況において、最も勝率が高い行為となるためである。ただ一方で、例えばねっとうの試行回数が2回以上あり、やけどをした場合は勝てるという試合があれば、それはねっとうのやけど率が30%であり、2回行った場合は51%の確率で勝利できるため、1%の差でそちらを選ぶ。

このように、相手の行動に依存する読みを行う場合にだけ勝利できる場合、それは安定行動ではないが、最も分の良い勝負となる。

限定的な状況下では、受け回しであっても自身の世界から逸脱する行動が正義となる場合もあるが、それは十分な勝率計算の結果初めて成り立つものとなる。

最後に

上振れ下振れをどちらも最小限に抑えるための構築が受け回しであり、その勝率は高くても、一位になれるようなものではないと考えている。

ただ一方で高い勝率を、再現性を持って叩き出すにはベストな戦法だと考えており、特にシリーズ6の間はデフレが続くため、数字の力を信じていけるシーズンであるはず。そしてポケモンを専業としてプレイング精度を高めている人間もいる世界で、社会人ができる一番良い構築でもあると思っている。

この並びの場合にこういったポケモンが出てくるという結果も蓄積できているので、しっかりと正しい確率を追い求めていきたい。